コーデュロイなどのパイル織物カッチング・剪毛(せんもう)加工

カネタカ石田株式会社

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弊社はコーデュロイ(コール天)のカッチング(剪毛加工)に関する内容を取り扱う会社です。
コーデュロイ剪毛資材および関連部品の製造販売、コーデュロイ剪毛機製作販売なども行いますが、普段はコーデュロイのカッチング(剪毛加工)を主な業務としています。

コーデュロイとは

コーデュロイはパイルでたて畝をあらわした、よこパイル織物です。

一般的な生地よりもよこ糸が多いので厚い生地が多いです。
このため、表面が滑らかで柔らかく暖かみがあり、光の加減によっては色が変わって見えたりするのが特徴です。

スーツやシャツ、ズボンやスカートなどの衣類を主に、ソファーやクッションカバー、バッグなどにも使われています。
暖かいので冬物の衣料に使われる事が多いです。

弊社のある磐田市福田地区(旧福田町)は19世紀中頃から織物業が盛んで、別珍・コール天は約100年前頃から作られるようになり、今では国内唯一の産地でもあります。
(我々は普段コーデュロイの事を『コール天』と呼びます。)

コーデュロイの製造工程

皆さんが普段着ている衣類などの繊維は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の組織構造にて作られてます。コーデュロイはこの織物に、畝の元となるよこパイルを打ち込みます。 このよこパイルを専用の道具と機械を使ってカットする工程を『カッチング』と言います。
そしてこのカットしたパイルをブラシやウインスなどによって山立てし、表面の不要な毛羽を焼きます。それを晒して漂白して染める。
こういった他の生地には無い手間がコーデュロイの特徴でもあります。

カッチングとは

生地断面図

カッチングとは簡単に言えば、よこパイルをガイドニードルとカッターを使って切ることです。
カッターの部分でよこパイル糸をカットして、仕上げ工程でウィンスなどで山立て加工をすることで畝ができます。

織屋さんで織られたコーデュロイの生地を受け取り、カッチング加工し、次の仕上げ加工の工場へ預けます。

機屋さんで織られてくる生地は、パレットでたたまれてくるものや、紙管に巻かれてくるものもあります。この紙管に巻かれているものを直接機械に繋ぐことはできないので、一度解反機にて解きます。

織られてきた生地は生地組織によってはそのままカッチングすると不具合が生じるものもあるので、カットの前に『ラビング(こすり)』と言う機械を通して表面処理をします。

この『ラビング』処理は機械を通す際、経方向へテンションをかけ、巾を縮めます。と同時に生地の表面(パイル面)を刃物が10数枚ついたローラーでこすり、パイルを起こします。こうする事によりガイドニードルがパイルを拾いやすくし、カスリ等の傷を無くすことができます。 この処理はすべての生地にするのでなく、これに適した生地にのみ行います。


解反機

ラビング処理

こうして準備ができた生地をカットしますが、切り終わった生地を出荷するにあたって、生地をたたみ直します。カッチング機械の振り落としの状態で次の工程に出荷してしまうと、切った方向が逆になってしまうので、解反機にてたたみ直します。 たたみながら、加工後の生地のチェックと反数を確認します。

そして出荷となります。


写真1:カッター

写真2:ガイドニードル

写真1にある円形の『カッター』と、下の写真2にある『ガイドニードル』(針)を1セットにしてパイルを剪ります。

ガイドニードルは真ん中が割れていて、その間にカッターを挟みます。そのセットを畝の数ぶんだけ機械のシャフトに通し布を送ります。ガイドニードルにてよこパイルを拾い、拾ったよこパイル糸を回転したカッターで剪っていきます。

よこパイルへガイドニードルを通す作業は一本一本、手で入れていきます。

※パイルへガイドニードルを通す作業風景

新しい生地を加工する際には、カッターやガイドニードルを必要分用意し、生地の組織や糸に合うようにガイドニードル先端の曲げ具合や丸みの形状を加工します。
ガイドニードルは200本~多いと700本ほど使うのでその布地に合わせたガイドニードルすべてに同じ先端処理をします。

そしてカッターと定盤との隙間(ゲージ)を調整し、布の張り(テンション)をみます。
すべての準備が整ったら数メートルほど剪ってみて、問題なければカット開始です。

この準備段階は非常に重要で、どれか一つ不具合があると加工した生地に傷や欠陥が生じてしまいB反、C反を作ってしまうことになるので、腕に見せ所でもあります。

生地の継ぎ目でガイドニードルをすべて引き出し、継ぎ目を送り、次の生地のパイルにガイドニードルをさしていきます。順調に加工できている時はこの作業を繰り返すのが主な仕事となります。

生地には多くの種類がありますが、120cm~165cmくらいまでの生地巾に、300~1300本くらいのパイルが並んでいます。

生地にもよりますが、1インチあたりに10本くらいまでの畝数なら全巾一度で加工を行えますが、11本以上になると機械への負担が掛かるの等の問題で、2度に分けてカットすることになります。(2回剪) これは1回剪目が奇数目、2回剪目に偶数目と一本おきに剪ります。ほとんどの生地は1回剪か2回剪で加工できますが、さらにパイルが細くてガイドニードルが通りにくいものは3回剪、もしくは4度回剪とカットする回数を増やしてカットします。

生地組織として、ほとんどがよこパイル組織のものですが、二重織り、裏表両面コーデュロイ、一般綿布にもある裏起毛加工を施した生地も加工します。

パイルの剪り方

パイルの剪り方として、一般的にはパイル糸の真ん中(ガイドニードルの左右の太さが5対5)の『まやま』でカットしますが、『親子(スラント)』と言って、ガイドニードルの左右の太さが違うもの、例えば右7対3、左3対7を一組としてセットしこれを順に並べてカットする物もあります。

ガイドニードルの比率により(6対4、7対3、8対2、9対1)畝の大きさの強弱が変わります。

またこれらのガイドニードルと通常使用する5対5のガイドニードルとを組合せカットする『ランダム』カットという加工法もあります。


親子(スラント)生地例。8畝/インチ 割合7対3

親子専用ガイドニードル (割合9対1)

カットする糸は天然繊維が多く、主に『綿』が一般的ですが、『麻』 『絹』 『ウール』 『アンゴラ』『カシミア』、合成繊維の『アクリル』 『ナイロン』 『ポリエステル』 『ポリウレタン』 『ビニロン』『テトロン』、そして『レーヨン』 『キュプラ』、変わったものでは『竹』や『紙』などもあります。

こういった糸素材のもので、中にはカッターの切れ味を落とすものもあります。カッターの切れ味が悪くなると切り口が荒れて、綺麗な畝を作ることができなくなります。そうなる前に一枚一枚手作業にてカッター研磨します。

カッチングと言う加工は、ほんのちょっとした事で ※スジ (カットしたパイルが左右均等に切れてない)とか、 ※カスリ (パイルを綺麗に拾いきれずに本来剪る糸が残ってる)とか、 ※地切れ (生地自体を剪ってしまう一番駄目な傷) などの傷が発生しまいがちです。

とにかく機械が動いてる際は、切った箇所を良く見るなどして慎重に作業を進めています。

専門的な話しになってしまいましたが、改めて説明すると「緯パイル糸をどれだけ綺麗に早く剪るか」が弊社の仕事です。

近年の多品種・小ロット化と、地元の関連業者の減少等でなかなか思うようにいかなかったりしますが、1メートルでもB反をださないように、そして他所では出来ないような複雑な生地も極力加工にして、福田産のコーデュロイをアピールし続けていきたいと思ます。

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